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6月30日 夏越大祓・茅の輪神事(なごしのおおはらい・ちのわしんじ)



新川神社写真

 大祓(おおはらえ)は、6月30日と12月31日に行われるわざわいをよける神事(しんじ)です。
ふだん生活するなかでしらずしらず身についた罪(つみ)やケガレをのぞきさるための祓い清めで、6月の大祓(おおはらい)を夏越の祓(なごしのはらえ)、12月の大祓を年越の祓(としこしのはらえ)といいます。

 夏越の祓(なごしのはらえ)ではおおくの神社で「茅の輪くぐり(ちのわくぐり)」が行われます。 これは、参拝者(さんぱいしゃ)が茅草(かやくさ)で作られた輪の中を左まわり、右まわり、左まわりと八の字に三回通って穢れを祓うものです。
昔の和歌の本に「題しらず」「よみ人知らず」として、
「水無月(みなづき:6月の事)の夏越(なごし)の祓(はらへ)する人は 千歳(ちとせ)の命 のぶというふなり」
「6月の30日からながい雨の日がつづき、ジメジメとした梅雨がきて、そのあとはあつい夏の日がつづき、伝染病(でんせんびょう)の季節(きせつ)がくるので、びょうきにかからないように、あつい夏を無事にすごせるように茅の輪の祓いをする人は 長生(ながい)きすると むかしからいわれていますよ」
という歌がのせてあり、むかしから茅の輪をくぐりながらこの和歌をとなえるのがならわしとしてつたわっています。
なぜ茅の輪が伝染病(でんせんびょう)のおまもりなのか?は、『備後国風土記(びんごのくにふどき:今の広島県東側)』という地方の伝説にある「蘇民将来(そみんしょうらい)」のはなしがもとになっています。

むかし、北の海にすんでいた、武塔(むた)の神さまは南の海にすんでいる神さまのむすめをおよめさんにもらおうとおもって旅(たび)にでたところ、日がくれてまっくらになってしまいました。
その村には「蘇民将来(そみんしょうらい)」という兄弟(きょうだい)がすんでいました。
兄(あに)はたいへん貧乏(びんぼう)でした。弟(おとうと)は裕福(ゆうふく)で家や倉(くら)をたくさんもっていました。
そこで武塔(むた)の神さまは弟に「ひとばん、とめてくれまいか?」とおねがいしましたが、弟はとめてあげられる部屋(へや)やたべものがたくさんあるのに、それをおしんでことわりました。
こんどはまずしい兄の家にいっておねがいしましたら、まずしいながらもふとんと粟(あわ)のごはんでせいいっぱい「おもてなし」をしてくれました。
ひとばんとまって朝になり旅にでられましてから何年(なんねん)もたったある日のことです。
八人の子どもの神をひきつれて武塔(むた)の神さまがふたたび弟の家におとずれ、次のようにたずねました。
「わしが昔(むかし)、こまっていたとき、おぬしはひとばんとめてくれて、夕食(ゆうしょく)をたべさせてくれた。そのときのお礼をしたいとおもう。おぬしの子どもや孫(まご)は家にいっしょにすんでおるか?」
蘇民将来(そみんしょうらい)がそれに答えて「私の家には娘と妻がいます」とおこたえしました。そこで武塔(むた)の神さまは「茅(ち:かやとも読む。ススキのこと)の葉で輪を作り、その茅の輪を腰のあたりに付けるとよい」とおっしゃっいました。
おことばのままに付けたところ、しばらくしてきょうれつな伝染病が村におこり、蘇民の家族をのぞいて、裕福な弟の家族たちは伝染病で死んでしまいました。
そうして「わたしは速須佐雄(ハヤスサノオ)の神である。今後悪い流行病があったなら、お前たちは蘇民将来の子孫だと言い、茅の輪を腰(こし)に付けているとその人は流行病からのがれるであろう。」とおっしゃっいました。

茅の輪を腰につけて災(わざわ)いからのがれたとされ、茅(かや)のつよい生命力(せいめいりょく)が神秘的(しんぴてき)な災(わざわい)をはらいよける力があると考えられてきましたので、 新川神社では宮司さんが心をこめて手作りいたしました茅の輪御守りを参加者(さんかしゃ)におさずけいたします。

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【式次第(しきしだい)】



1 : 集合
参拝者は本殿(ほんでん)で申込書に住んでいるところと名前を書きます。
その後、外の参道に設置された茅の輪の前に整列します。

2 : 大祓祝詞奏上
神職が大祓詞(おおはらえことば)という罪ケガレを無くす祝詞(のりと)を参加者によみきかせします。神さまにむかって読むのが「のりと」ですが、「おおはらえことば」は人によみきかせるのりとなのです。

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3 : 大麻の祓い
榊(さかき)の大麻(おおぬさ)で参拝者をお祓いいたします。

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4 : 人形・切り麻の祓
各自、紙吹雪(かみふぶき)で自らの心身を清め祓い、紙の人形に深い息を3回吹きかけて身体全身になでつけて罪・ケガレを人形に移します。特に都合の悪い部分、腰や足などは念入りになでつけます。

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5 : 祓津物(はらえつもの)の祓い
大祓詞の祝詞の内容に従いまして、木綿(もめん)と麻(あさ)を八つにさくことにより罪をはらうぎしきです。
祓津物(はらえつもの)とは、むかし罪やケガレをなくすためにさし出すオハライのための物です。みんなの罪ケガレをうつした紙人形と共に川にながします。

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6 : 茅の輪(ちのわ)くぐり
宮司が一番前になり、さんかしゃ約10名ずつ、いちれつにならんで茅の輪(ちのわ)を左回り、右回り、左回りと3回くぐりぬけます。
「水無月(みなつき)の なごしの祓する人は ちとせの命 のぶというふなり」とうたいながらくぐります。

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7 : 除災招福祝詞奏上
茅の輪をくぐりおわったらこんどは神社の中で、病気をせずにすごせるように神さまにおいのりをします。

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8 : 御神霊拜戴(ごしんれいはいたい)・美鈴(みすず)の儀
新川神社の神様の力を鈴の音にこめてみなさんにさしあげる鈴ふりの儀式です。鈴の音を通じて御神気を身に帯びていただきます。

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9 : 参列者拝礼
二礼二拍手一礼でご参拝いただきます。

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10: 茅の輪御守授与
有名な「蘇民将来(そみんしょうらい)」の伝説につたわるおまもりで、これを身につけると疫病(えきびょう:今でいう新型コロナウィルス)にかからないとされたおまもりです。
ウィルスが家の中にはいってこないように玄関(げんかん)にかけたり、神棚にかざっておまつりいただきます。

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