日別アーカイブ: 2019年5月22日

令和元年度第6回田んぼ学校お田植え祭斎行

宮司です。爽やかな新緑の季節となりました。毎朝梅の木の実の成熟具合を見ておりますと境内にはカラスや雉、つばめやセキレイ、先日までは鶯が一所懸命に鳴いておりましたが、様々な鳥がいるなぁと嬉しく思いました。鳥は神のお使いですからね。

ということで今年も晴天の下、お田植え祭を斎行いたしました。6年目と言うことで最初来ていた子供達も成長して中学生になったりして参加者も世代交代がそろそろきてるなぁと感じましたが本年は早乙女8名、田男3名含む21名の児童と保護者、宮総代、鷹乃羽雅楽会の総勢50名で行いました。

先ずは祭礼にて田男、早乙女にお供え物のお運びの所役をして戴くので作法を伝授します。毎年のことですが子供達は飲み込みが早いので意外に短時間でリハが済みました。毎年参加して戴いている子も多いからでしょう。
先ずは開校式にて貫江総代会長、奉耕者である吉田榮一さんと田添啓一さんにお米作りのお話しをして戴きました。田添さんからは「毎年、早苗の植え込みが浅くて全てやり直さなければイケなかったので、今年は必ず3㎝土に植え込むように」との注意事項が有りました。そのお陰で今年は上手に植えることが出来たようです。

今年は早乙女が過去最大の8名ですから「八乙女」です。八乙女(やおとめ)は神楽や舞で神前にお仕えする巫女の事で、八は末広がりで数が多いことの例えのラッキーナンバーです。

スムースに祭礼を終えていよいよ神饌田へ参進です。
鷹乃羽雅楽会が雅楽を演奏して戴けるのも新川神社ならではです。今回龍笛の高木さんが祭典雅楽奉仕デビューでした。直垂装束を着けての演奏も初めてですが落ち着いて演奏できました。
田楽が伝わっていないので雅楽の生演奏の中、田植えをする所は県内では新川神社だけではないでしょうか。植物に雅楽を聴かせると良く成長するという実験結果もありますし、雅やかな雅楽と太鼓の音に合わせて作業するのはいいもんですよ。

宮総代と保護者の方のお手伝いも戴きまして大幅に早い11時10分には田植えを終えて11時30分には昼食。昨年収穫した神饌田のコシヒカリでカレーライスをいただきました。今年のカレーは毎年とあるスーパーの調理部門へ外注しているのですが、少し辛めのカレーでしたので幼児にはかわいそうなことをしました。来年からはカレールーを指定して作って貰います。

食事を終えたら少し休憩の後、12時10分過ぎから古事記紙芝居です。今回は「神武東征(じんむとうせい)」のお話しです。少し幼児にはむつかしいかもしれませんが、高学年は本当にビックリするくらい理解している子がいまして、神主と致しましてはやりがいがあります。

紙芝居が終われば「古事記とお米に関するクイズ大会」です。それぞれに関する3択のクイズで正解者にはお菓子をひとつ選べます。16問ほど有りますので結構な量になりますね。
この「クイズ大会」が田んぼ学校のキモです。実際の体験を通じてその経験を知識として魂に落とし込めることが出来るか、が重要だからです。体験したことを自分の言葉で誰かに伝える事ができれば尚素晴らしい事ですね。日本人としての根幹に流れる大事な事を次世代の子供達に授けることが出来て私の神職としての使命達成感を実感できるのもこの田んぼ学校の良いところです。

今回、ビックリしましたのは、 「Q:お米はどこから来たの?  A:神様からいただいた」
ここまでは3択ですので正解なのですが、追加で「その神様は誰?」と聞いて「アマテラスオオミカミ!」とスパッと答えが返ってくるんですからね、すばらしい。
クイズに対して真剣な眼差しで質問の内容を理解しようとする子供達に触れますと、何時か将来的に日本人として立派に地域に根を張れる人材が育つ様な気がします。
奉耕者の方々には稲作の準備から後片付けまでお手間をお掛けいたしておりますし総代会や他色々な方々にご協力を戴いているこの行事も神様と繋がりをもった人材を育成するという意味で豊かな稔りをもたらすことを願って継続していきたいと思います。

私が「田んぼ学校」を開催した理由に「神様には地元で採れたお米だけをお供えしたい」と言うことが先ずありました。そして地元の子供達と自分たちで植えたお米を自分たちで収穫して、自分たちで握って食べる、という一貫した行程を体験することにより「産土(うぶすな)の神」と一体になって戴きたいということです。最近はスーパーマーケットで全国、全世界から食材が集まってきますので、昔は当たり前に自分の地域で穫れた物を食べて土地と命の繋がりがあった時代ですが、今はそういった実感が体験出来にくい世情です。
それが良い悪いではなくて現代の利便性はありがたく利用して享受するのは当然ですが、産まれ育った土地の霊が籠もったお米を食べることでその土地と一体感を感じていた昔の日本人の有り様を思わないと何のために神社でお祭りをするのかわからなくなってしまうからです。

産土神の復権。私は神職としてこれを国内外に広めていけたらと今考えています。

最後に「かんさつにっき」を参加者に渡してお別れです。残念ながら昨年は1名のみの提出でした。ですので宮司さん、つい口が滑って「提出者には豪華景品が当たります!」とサラッと言ったつもりがこどもたちはシッカリ聞いていたようで「豪華景品って何?」「昨年と一緒ですか?」とか問い合わせが・・・。
ある子からは「ねーねー、私は景品に○○がいいなー」といわれたんで「○○って何?」と聞きますと「でも○○は何万円もするん」という事でしたので「それじゃ、だめだわ。宮司さんそんなお金かけられんわ」と答えますと、なんと可愛い笑顔で「アマテラスさんにおねがいすれば、いいんじゃない?」
まだ未就学児ですよ。なんという機敏さでしょうか。今年の秋に彼女に会えたなら「宮司さん、アマテラスさんにお願いしたら天岩戸にお隠れになってお答えはいただけなかったん」と、せいいっぱいの可愛いい笑顔でお答え申し上げようと思います。