宮司です。田んぼ学校も本年で4回目を迎え、毎年心配な天気も本年は良好、清々しい陽気でした。いつも看板は手書きの物でしたが、本年はプロに作って貰いました。毎年何かひとつだけでも良くしたくて何かを新規企画するわけですが、そうすると手間と経費がかかります。ですが、何か新しい事がひとつでもあると運営する私の心がワクワクしますし、子供達の反応やリアクションを楽しみにモチベーションが上がりますので、要は長続きするには集める方も集まる子供達も毎年楽しみながらやっていくことが大事では無いかと思うんです。
その成果も有りまして、部活動が有るのに半日休んでも来てくれる中学生や、母親が仕事で同伴出来ないと言われた子供が前日まで「行きたい〜行きたい〜」コールをして、結局父親同伴で参加してくれたりした話を聞いて、ホントに改めて田んぼ学校をやる「やりがい」を感じました。
恒例により、先ずは神社でお田植え報告祭を斎行いたします。本年は丁度この日に天皇皇后両陛下が全国植樹祭にて御来県の日でしたので神社庁からの通達に従いまして「天皇皇后両陛下行幸啓奉祝祭」と併せての斎行です。富山で植樹祭が行われることを記念して神社庁から榊の苗を頂戴いたしましたので此は先だって境内に植えてあります。
田男・早乙女それぞれ5名ずつ衣装を着てお供え物を伝供(でんく:お供え物を載せた三方を手渡しで運ぶ。要領はバケツリレー。)して貰います。予めリハーサルをするのですが、皆飲み込みが良くて綺麗に流れよくお運びが出来ました。お供え物のお米は昨年神饌田で収穫したコシヒカリです。本年も早苗をお供えして豊作を祈りました。
祭典を終えますと子供達は地下足袋に履き替えていよいよ神饌田へ向かいます。鷹乃羽雅楽会の道楽を先頭に参進しまして、先ずは田んぼのお清めのお祓いをしてから奉耕者の吉田榮一さんより田植えの技術指導を受けます。毎年回数を重ねてきますと教える方も教わる方も熟れてきまして改善を重ねて参りましたので本年は今までで一番綺麗に植わったと思います。
田んぼに田男の白衣、早乙女の紅白の衣装が映えてこの風景がなんとも言えず絵になります。小さな子供達の表情も豊かです。毎年、誰か尻餅をつくのでは無いかと心配していますが、今のところ誰もいません。すごい。
田植えの最中は鷹乃羽雅楽会の越殿楽に合わせて私が太鼓を叩き、それに合わせて田男・早乙女が植えていきます。途中からはそれぞれのペースで植えていきますが、BGMに雅楽を流しながらの田植えは多分全国的にも珍しいと思います。日本の伝統芸能のひとつに「田楽(でんがく)」があり、(味噌を付けて食べるほうではない)早乙女が苗を植えるのを田楽衆がささら,笛,腰鼓などで囃 (はや) して乱舞したと伝わっています。豊穣を祈念するものと、魔事退散を祈念するものとがあるそうです。田植えの最中に雅やかな雅楽が流れていると作業中に気が休まるようなコメントも児童がしていましたので、我々の祖先も大変な重労働を少しでも楽しく行う知恵を儀礼や芸能として昇華させた物で有ろうかと思います。
田植えも順調に終えて、気替えをした後に昨年収穫したお米でカレーライスを戴きます。今年もみんなもりもり食べて、お米は残らず完食してくれました。カレーは予め多めに作ってありますのでしばらくは舩木家は朝昼晩カレーです。でも食べ飽きませんね、カレーは。不思議です。
最後に恒例の「お米に関するクイズ大会」です。これを楽しみに参加している子供が多いのでは無いかと思いますが、要はクイズ正解ごとにお菓子が選べるという単純なゲームです。問題が10〜12門有りますので、全問正解するとかなりの量のお菓子がゲット出来ます。多少のギャンブル性と「ただで」貰える物にはみな必死になります。ですが、前回までは最後まで奇声が止まなかったのですが、今年はどうやら熱が冷めてきた見たくて、次回からは趣向を変えて何か新しいアトラクションを導入する時期かな、と感じました。
最後には「観察日記」を渡して解散。昨年は残念ながら観察日記提出者ゼロでしたのでこれもなんとかして、成長の過程や「稲の花」など実際に触れて貰いたいと思います。とにかく、晴天に恵まれて本年も無事に納める事が出来ました。ご父兄の方々のご助力と何よりも奉耕者の吉田榮一さん、田添啓一さんに感謝申し上げたいともいます。
追記:今回も川嶋一人広報部長が神様の優しい眼差しの様な素敵なショットを多数納めて戴きました。ご堪能下さい。