宮司です。さて、10月22日即位の礼に延期されました祝賀御列の儀も10日に無事納められまして大嘗祭が愈々という11日、日本書紀に親しむを開催致しました。
丁度、神武天皇の東征の場面で熊野から吉野に苦戦しながらも進駐するところであります。
来る大嘗祭、そして大饗の儀にまつわる奉祝の諸儀式には日本書紀を元とする神事・芸能が目白押しですのでご紹介しようと思いましてネットで検索致しまして、皇室の儀式の中でも秘儀とされて参りました大禮ですので手がかりを探そうと思っておりましたらなんと、本家本元の「宮内庁ホームページ」に「大嘗宮の儀関係資料」、「大饗の儀関係資料」という名称のPDFがあるではありませんか!
このPDFには今まで何となく伝わっていたような詳細が事細かに図案入りで記されておりました!
これで心置きなく自信を持って参加者に説明出来る訳ですよ、本家本元の資料ですからね。
皆さんも興味があられます方は上記の資料名でググって戴ければDLできます。
先ずは11月16日・18日と二日間に分けて行われる「大饗の儀」に演奏される「久米舞」と「五節舞」の動画を見ていただきました。久米は神武東征に従軍した軍事氏族。丁度今回も読んでいる場面は久米が活躍しているところでした。動画サイトで検索すれば見られますので端折って次へ。
興味深いのは大嘗宮の設営図、また天皇陛下が祭祀を御奉仕されます殿内の図、式次第に宮内庁楽師が演奏される曲目、そして歌詞までも記されてることです。吉野の國栖の古風(いにしえぶり)や御神楽、神社庁雅楽部も演奏させて戴いております其駒(そのこま)も演奏曲目に入っているなど、日本書紀に記されていることが今日まで儀礼として継承されている事、その時が近づいていることを感じて貰いたくて、まず最初にスライドでこの公式資料を見ていただきました。極めつけは天皇陛下が天照大御神、天神地祇に御祈りを捧げられる「御告文(おつげぶみ)」の先例文が5例も掲載されていたのです。これは参加者全員にお渡しを致しました。この御告文を読んでいただければ、新帝が国民を救い、国の平和を伊勢の天照大御神を始め、日本国中の神々、天つ神国つ神にお祈りされることが明確にわかるのです。
「伊勢の五十鈴川の河上にいらっしゃいます天照大御神を始め、日本国中の神々、天つ神国つ神皇神の広いお護りによって国中が平安で穀物も豊かに稔り天下を覆って諸々の国民を救わんと思いますゆえに、今年新たに収穫したごちそう、新米をたてまつりますので、我が身に犯すべき諸々の災いがきざす前に祓い除けてください、不祥事・悪事が来ることが無いように。また高い山、深い谷所々の社に名を記して悪しき呪いをする者を皆ことごとく蹴散らして滅ぼして戴く事、この事は天つ神、国つ神のあつきおまもりをいただきまして為せることでありますので恐れみ、恐れみまして申し上げます」というのがこの先例5例の例文の大筋でございます。僭越ながら現代語訳をさせて戴きました。
私は常々、声を上げて申し上げたいことがありましたがこの歴代天皇陛下の御告文を拝見して確信致しました。
神棚には天つ神である神宮大麻と国つ神である氏神神社の御神札を必ず併せてお祭りしましょう、ということです。なぜならば、大嘗祭で天皇陛下が明確にこの神々に御祈りされておいでだからです。我々日本人の本家本元がなされているのですから間違いないです。現存する世界最古の国家をおまもりしてきた神々は我々の家の中においでなのです。
最近、「へんな神道」に少なからず出逢うことがあります。伝統的に伝わっているのに自分勝手な教義をお作りになって、「天照大御神の御神札だけで良いが」という方が少なからずいらっしゃいます。折を見て伝えているのですが「今までなんともなかったから大丈夫」だそうです。
確かに、氏神神社が小さな社で、神職も常駐していない、うらぶれた神社に御利益を感じないから有名大社やTVコマーシャルにお金をかける神社に御利益を求められるお気持ちもわかります。
私が神職ではなくて一般的な国民でしたらそう感じて居るかも知れません。ですが、此所では永くなるので端折りますが、まだまだ少ない年数ですが私の神職としての経験上、皆さんが住んでいる場所を守護していらっしゃるのは氏神神社です。神社は神界への入り口。大きかろうと小さかろうと、神主がいようといまいと、関係無く繋がる場所です。初詣は先ずは地元の氏神さんから。
普通に昔から伝わってきたことには何かしら意味がちゃんと有るのです。そしてそこにはやはり何らかの力が働いているのです。自分勝手な我心の神道は辞めて、今一度基本に立ち返ってみませんか、と声を大にして言いたいのです。皇室という尊いお手本が我が国に君臨されておりますので。