宮司です。新年も明け、一段落というところですがまだまだ正月の残務整理が残りっているところです。が、そろそろ休まないと気持ちが荒ぶるので、「スターウォーズ」と「男はつらいよ」を観て参りました。いずれも長期シリーズの最終となる〆の完結編でしたので感慨深かったですね。
地鎮祭ではテントの周りに竹を4本建ててその周りにしめ縄を張り、紙垂(しで)という白い紙を四垂れに折った物を結界のしるしとして縄に挟む仕事があります。
施工業者さんが付けるのを手伝って戴けるのですが、縄を縒り返して空いた隙間に紙を挟む時、縄の縒りが強かったり、ピンと張りすぎるとなかなか縒り返して挟むことが難しい仕事なんです。ところが、私は長年の経験で慣れていますのでスイスイ付けていくと「なんでそんなに早く付けれるんですか?」と聞かれます。私はすかさず「フォースを使えば良いんですよ」答えます。スターウォーズ世代はジョークだと伝わって笑ってくれますので続けて「指先に気を集めてから、開け!と念じて縒り戻すと開きますよ」と伝授しますとかなりの確率で「あっ、開いた!」となります。要はイメージなんです。今度是非試してみて下さい。若い世代の担当者ですとスターウォーズ世代ではないので「フォースを使え」と言われても「それってホームセンターに売ってます?」と聞かれることがあったりしますんで「ホームセンターにはないと思うよ、今度レンタルビデオ屋でスターウォーズを借りて見られ」と普及活動に従事しております。MAY THE FORCE BE WITH YOU.フォースと共にあらんことを。
さて、本題ですが我々富山の神職は正月元旦の次の日、2日から9日頃まで氏子の家を1軒ずつ周り、新年のご挨拶と神棚祈祷としてご一家の後安泰をお祈りする「家祈祷(やぎとう)」という風習があります。神職が常駐している神社だけではありますが。毎年廻っておりますと、家の玄関での飾り物やペット、掛け軸が目に入りますが中でも本年ピンときたものがありましたのでご紹介いたします。
「花ノ和工房」和紙造形作家・堀内章代(ほりうちあきよ)さん製作の「越中和紙 天神様」です。玄関に神棚がある家でしたのでお祓いの祝詞を上げて帰り際にふと目に入ったのですが、パッと見は「何か神々しい物」を感じまして。よくよく見ると見るからに高級そうな和紙に天神さんの梅鉢紋がさりげなーく胸の辺りに白い和紙で意匠されていますので直ぐに「天神様」とわかりました。旧来の肖像的な天神像とは真逆の抽象化されたモダンデザインを感じました。そして神事に使う「人形(ひとがた)」を連想させる造形美に心を奪われてしまいました。家のご婦人に「これは何処で売っていたのですか」など色々話を聞きますと実の娘さんが製作した物だと。工房はこの家で製作しているので本人を呼びます、ということでご本人とお会いしまして色々お話しを聞きますとこの天神様は第49回富山県デザイン展で奨励賞を受賞していた作品でした。どうりで。自分でいうのも何ですが、私も意外と良い物に対して「目利き」が効くなぁと思いました。普通なら横に「なんとか賞受賞」とか看板を立てそうな物ですが堀内さんは謙虚に作品だけ展示してありましたが、やはりすばらしい才能は必ず日の目を浴びることとなるんでしょうね。
五箇山の悠久紙を使った作品で、新川神社も神宝が天神軸ですし、当社でも授与しております松井機業の御朱印帳は五箇山の悠久紙で製本されていますので完全に私の心を掴まれてしまったので、即発注いたしました。「おひなさま」もあるということで両方注文いたしましたのでいずれご紹介いたします。
一週間以上をかけて一軒一軒家を廻る家祈祷は大変と言えば大変ですが、わが町新庄の新たなる才能に触れる機会が戴けましたのでやはり大事な御奉仕だと改めて感じました。