宮司です。ついに政府は都市部地域限定で非常事態宣言を本日発令する予定だそうです。当方でも3月から神社主催行事は勿論、若鷹会や外部の参集殿ご利用もご遠慮戴いております。長男が國學院大學に通いながら明治神宮に研修生として、次男がこの春より埼玉県の城西大学へ進学と言うことで親としては心配ですが、今は携帯で逐一連絡が取れますので息子たちとは情報交換をこまめにしております。
さて、そんな最中ではありますが4月3日金曜日、快晴の日に盛田造園さんにより御代替わり奉祝の記念植樹の作業をしていただきました。
御大典の奉祝事業は二本立でして、1つは新規駐車場の増設、これは一応工事完了しました。続いての記念植樹は本殿前一対の榊の木の左側が枯れてしまいましたので此の機会に改めて植え替えをしようという事で企画しました。
最近の猛暑で日当たりの良すぎる場所ですので耐えきれなかったのかなぁと思います。
此の機会に御即位にちなみまして「右近の橘・左近の桜」に植え替えを致しました。右側の榊は猛暑を避けるために御輿蔵の横に移植をしました。
「榊の木は午前中1時間程陽が当たる場所の方が玉串に最適な良い枝振りになる」という事を明治神宮の林苑専門の方に聞いたことがありまして。なるほど、日当たりのよい場所は光合成がたやすく出来ますので枝葉を広げる必要が無いですからね。確かに、良い玉串が穫れる榊は大木のある神社の境内でその日陰に育っている木が多いので確かです。日陰者の方が努力して成長すると言うことでしょう。人も同じですね。
「右近の橘・左近の桜」はひな人形で皆さんご存じだと思いますが、この左右の置き場所がややこしいので此所ではそれには触れませんが、天皇陛下が御即位の儀礼をなされる紫宸殿(ししんでん)の前に植えられている樹にちなんでおります。左右は宮殿にお座りになる天皇陛下から見て右が橘、左が桜になりますので我々が紫宸殿に向かってみると右手が桜、左手が橘と逆になりますのでご注意。
右近、左近(うこん さこん)は今で言う皇宮警察に当たる皇居の近衛兵でそれぞれ左右に分かれて警備していた官職の名からいわれているようです。
そのような意味合いから、御代替わりの記念植樹の樹としては最適な品種だと思います。加えて、古事記には「桜」は邇邇芸命の姫、コノハナサクヤヒメ、「橘」は垂仁天皇の御代に不老不死の果実として非時香木実(時じくの香の木の実)として神話ゆかりの樹ですので古事記・日本書紀をお読みになる皆様にも鑑賞戴けるので、より身近に神話と現代の物事を感じて戴ければと思います。
今回はなによりも、道路拡幅で切らざるをえなかった「古桜」の子孫が残せたことを本当に嬉しく思います。