木原盛夫-写真展-「とやま、祭り彩時季」ミュゼふくおかカメラ館拝見しました。

お久しぶりです、宮司です。毎日暑いですね。
以前から神社の祭事に突如と現れては写真を撮影しておられた木原さんからご自身の写真展の招待状が届きまして、丁度息子兄弟もそろったところでしたので高岡の蕎文で「すだち蕎麦」

をいただいてから福岡町まで足をのばしました。

実は木原さんとは改めてどこの誰でどんな目的で写真を撮っているのか?とかお話ししたことも無く、写真好きのアマチュアカメラマンかな、と思っておりました。新川神社のお祭りもそうですが、四方の恵比須神社の海上渡御祭などにも気がつくとカメラを構えていらっしゃったり、「神出鬼没」な得体の知れない感じの方でしたが、お話ししますと気さくな方ですし、一度田んぼ学校のミニ写真帳や撮影された写真のコピーなども戴いた事もありましたので、うちみたいなマイナーなこぢんまりとした祭礼にもどこで調べたのか、足繁く撮影されていましたので奇特な方だなぁとも思っておりましたので、写真展の招待状をいただいたときはいささかビックリしました。

写真展のチラシに木原さんのプロフィールが書いてありまして、そこには「これまでに500人を超える国内外のミュージシャン、俳優、作家を撮影。」とありまして、そういえば以前東京で写真撮っていた、とサラリと聞いただけで詳細は聞いておりませんでした。あらためて、聞いてみようと思いながら現地会場に到着。会場入りして仰天しましたのが、おびただしい数の富山の祭礼の写真展示でした。県展とかの写真展より多い圧巻の展示で、そこには見慣れた風景や見慣れない祭事の曼荼羅のような富山の風景でした。中には見慣れた新川神社の田んぼ学校や、大沢野の猪谷地区の湯釜神事の様子、四方の恵比寿祭りの海上渡御祭の様子もありました。意外にやはり自分の担当神社の風景は一発で目にとまりますので、ここでようやく木原さんのことを「これはただ者ではない」と感じたわけです。そうか、これをやりたかったんだなぁと。

正直、久しぶりに感動致しました。私たち神職は実は祭礼時期は忙しいので他の神社の祭礼はあまり見たことが無いのです。TVや新聞などで知る程度で自分たちの職務を果たすのに精一杯で、他の神社の祭礼なども参考に成るので興味はありつつも実際にいけない事の方が多いので逆に一般の人の方が数多く拝観してるかもしれません。そのような祭礼の様子を写真で見ますと各地域の方々がほんとうに手間と労力とお金をかけてお祭りをもり立ててそして楽しんでいる様子が伝わりまして感動致しました。家族といろいろ話しながら、また私が写っていたりする写真など見つけながら楽しんで拝見しました。

全部拝見した出口に今回の展示のフォトブック『とやま、祭り彩時季』の11巻が販売されていました。これは全部、貴重な富山の祭礼記録資料として蔵書しなければと思い、即購入を決意しました。(第2巻だけ欠品でしたので後日再版時に届きます)
第7巻目は新川神社の田んぼ学校の早乙女が表紙です。私も毎年泥の田んぼに咲く、紅白の早乙女の姿が好きで、この構図は鉄板です。ほかにも猪谷の神社での湯釜神事で楽しそうに笹葉で熱湯を参拝者に振りかける宮司さんの姿が笑えます。

展示室ロビーに木原さんがいらっしゃいまして、ご挨拶と感動したことをお伝えしまして、改めて東京でのお仕事のことを聞こうと思いましたら、ご自身の東京での仕事のフォトブックをお持ちでしてそれを拝見してまた、ビックリ! NIRVANAのカート・コバーンをはじめ、PinkCloud時代のCHARなど国内外の有名ミュージシャンのライブ写真やポートレイトが納められていました。ミュージックマガジンやロッキンオンなどの音楽雑誌の写真を撮るフリーランスのカメラマンだったということで、こりゃ本物だと。私にしてみましたら今まで読んでた雑誌の写真を撮っておられた方ですので凄いなと。カリスマ的なミュージシャンとフォトセッションなどあったと思いますから80年代からのポピュラーミュージック史みたいなもんでした。
あまりにも普段は気さくな感じの方ですので「如何にもカメラマン」的な感じがしないところが、より本物です。

そのロビーにはソニーのαシリーズのカメラがミノルタのストラップを付けて同じ機種が3台展示してありました。この五年間使い続けたカメラだそうで、すべて同じ型のカメラで撮り続けたということです。次から次と出てくる新機種の方が性能は良くなっていくものの、途中で写真の雰囲気が変わると一堂に展示したときに写り方に差異が出ないようにとの配慮と聞いて納得。
また、木原さんはすべての場所に公共交通と徒歩で撮影に行っておられるのに驚きました。東京在住の時はたしかに自家用車無くても仕事できますが、富山だときついんでは無いかと思いますが、そこのところもコラムに書いてありましたが、車で予定時間に現場に乗り付けて祭りのクライマックスだけ撮影して帰るだけでは撮ることが出来ないまつりの情景がある、ということに気づかされました。時間をかけて、足で歩いて行く道のりが無駄では無いということですね。深いです。

今年は新型コロナ蔓延防止の為、すべての祭礼神振行事が中止になっている中で、この場所だけは豪華絢爛な祭礼の風景が満載の場所ですので、こんな時だからこそ、とやまの祭りのなんたるかを感じる事ができるグッドタイムリーな企画展だと思いました。もちろん、偶然そういう時期に重なっただけですけど。
是非、みなさんも見に行ってみてください。
every picture tells a story という、英語のことわざがありますが、《どんな絵にもそれぞれ物語がある》通り、いろいろな物語りが感じられる写真展です。