田んぼ学校「しめ縄作り講習会とイセヒカリ試食会」ご報告。

上手に出来ました。伊勢神宮+新川神社のハイブリッドしめ飾り。

おひさです、禰宜です。半月以上も更新が停滞してしまいました。なにせ、奉賛会も只今参集殿の建築に向けて打ち合わせが進んでいるところですのでなかなか忙しいです。先ずは12月15日付、今日発刊の「奉賛会会報第2号」「鷹乃羽6号」、無事に仕上げました。これの編集にかかりきりでした。奉賛会報は奉賛会の広報委員会で編集されましたので私は原稿だけですが、鷹乃羽は全部私が編集・執筆ですので。

しかし今年を振り返りますと誠に充実した活動が出来た良い年だったと一年間の写真を振り返りながら思いました。大収穫の年でした。みそぎ・鎮魂作法錬成会が出来ましたし、神輿を担ぐ講習会も出来ました。そして「田んぼ学校」が絶妙なタイミングで実施することが出来、富山県神社庁の教化委員会の神職さん達、また田んぼを荒れ地から開墾してくださった地元氏子総代会有志の方々、友愛会の方々、そして参加して戴いた沢山のご家族の方々のお陰様です。特に、奉耕者を務めて戴きました吉田榮一様、田添啓一様、イセヒカリの種籾を早苗に育てて戴きまして、最後には米俵にして奉納戴きました、富山市水落の稲垣幸三様(吉田榮一氏義父)には深く感謝いたします。田植えの仕上げや稲刈りのはさかけなど、手の込んだ仕事もフォローして戴きました。私自身が大変勉強になりました。また、稲を育てる楽しみと言いますか、我が子のように愛おしく感じる事が出来、それを皆さんと共有できたことが良かったと思います。
最後には収穫した稲わらで神社のしめ縄を作り替えました。お正月のしめ飾りも参加者の家に掛けて戴ける用に作って持って帰って貰いました。
田植えからお祓いにお祓いを重ねて神様のお膝元で育てた稲の藁です。強力にきまってるじゃないですか。しかも伊勢神宮からお譲り戴いた「イセヒカリ」ですよ。最強と言っていいでしょう。天照大御神プラス氏神パワーですからね。
先ずは神社の本殿でお祓いを受けてからお参りをしました。神様に捧げるしめ縄を綯うからです。その後、神社にかかっているしめ縄を外して公民館へ移動。

なんと前日から雪が積もりました。神社のしめ縄を持って公民館へ。同じ長さのしめ縄を綯うために現場のを外してくるのです。

最初の30分間ほどは解説です。古事記・日本書紀に記されている「しめ縄の起源」をお話ししました。天照大御神が「天の岩戸」からお出ましになったときに「布戸玉の命」が入り口にしめ縄を張って、「ここより内にな、還り入りましそ」、つまり「ここより中には二度と還ってはなりませぬぞ」と厳しい結界を張ったお話しが起源となっています。日本書紀では「端出之縄」と書いて「しりくめなわ」でこれが「左縄」だと明記されているので神社に掛けるしめ縄は普通の作業用の荒縄が右綯いに対して左に綯うのです。この時に急いでしめ縄を作らなければ行けなかったので、本来は丁寧に継ぎながら編むところ、藁の端を出したまま力業で継ぎ足していったから、神事用のしめ縄には藁がぶら下がっているのです。または、禁忌を示すためにわざと端を出しながら作ったのではないかなと思ったりします。古語拾遺には「日影の像(かたち)なり」とありますので、日章旗のイメージでしょうか。

まずは古事記に書いてある天の岩との話から、しめ縄の起源を解説。わかってくれたかな〜?

その後、実際に編み方を実演しながら解説します。なかなか最初は戸惑っていらっしゃる様でしたが、上手に綯われる方もいらっしゃいまして、私は汗をかきながら皆さんの手元を助けながら編んでいきました。子供達には輪っか型のしめ飾りを作って貰いました。これは継ぎ足す必要が無いので比較的簡単に編めます。子供達の分の他に、自宅の神棚用のしめ飾りを作って行かれたお母さんもいらっしゃいましたので、たいしたもんですね。
絶対、ホームセンターのしめ飾りより御利益有りますよ。

本来神主は縄を編むことは専門ではありませんが舩木家では代々綯うことを親から子へ伝授されます。小学生の頃からまねごとはさせられました。蛇が這っているようなへなへなしか作れませんでしたけど。

いよいよしめ縄作り伝授。イセヒカリは台風が来ても倒れないだけに藁に芯があり、針金の様です。本来は打たないのですが、やはり打たないととても編めません。私は堅めが好きなのですが、さすがに打ちました。あまり打ち過ぎると柔らかすぎてかえって編みにくいのであくまでミディアムレアくらいですかね。

総代さん達もチャレンジ。

結局、田添宮総代会長さんたちが仕上げてくれました。氏子の方々のしめ縄だからこそ神様は喜んで戴けると思います。

なかなか様になってますな。

みんなで作ると楽しいですよ。いつも一人で粛々と作っていますから。

出来た。田植えから稲刈り、そしてそれをしめ縄に。達成感あります。

しめ縄作りを正味1時間30分ほど掛けて行った後、いよいよイセヒカリの試食会です。イセヒカリは硬質米ですから「塩おむすび」にするのが一番美味しいかも、ということで各自ラップに包んで、具材を好きな物を選んで入れて自分で結んで貰いました。具材も定番の梅干し、鮭の身、こんぶの他に鶏の唐揚げや鶏そぼろ、肉味噌など用意しました。トッピングの海苔も味付け海苔、焼き海苔の2バージョンを用意しました。何故か舩木家では昔から味付け海苔をおむすびに付けていましたので、味付け海苔は私好みだからです。バリエーションを持たせて自由にカスタマイズできるようにしました。その方が楽しいでしょ。子供達、食べるわ食べるわ、行列が途切れなくて、最後には賄いのお世話を戴いたお母さんの分が無くなりそうになったので、お代わり中止令を。男の子で最高8個も食べた強者がいたそうです。よかったよかった。同日の夜に行われる「お宮で飲もう会」の分も炊いたつもりでしたが結局、炊き直ししました。

おむすびカスタマイズ工房。行列が途絶えること無く続きます。結構「固め」って美味しいと思います。私の好みですが。家の倅も固め好きですからある程度歯ごたえ感があった方が美味しく感じるのでしょうか。

それぞれに握って海苔を巻いて食する。美味しいね。

総代さん達はご飯に漬け物。田んぼを開墾して戴きましたので是非とも試食して戴きたかった方々です。

お母さん謹製、御神前奉献用おむすび。お下がりは私がいただきました。美味。

証拠写真。新川神社の神様、絶対喜んでいらっしゃいますよ、未だかつて無かったことですからね!

「おにぎり」と「おむすび」と呼び方は二通り有りますが、私は敢えて「おむすび」と呼びたいですね。
お母さんが「手塩にかけて」心を込めてお米を「むすぶ」から「おむすび」、これは神道の神様の御神名にあります「産す日(むすひ)」の意味が込められています。手に塩をかけるのは殺菌と味付けの両方の意味があるそうです。産まれた霊(れい)の事です。霊は「ひ」とも呼びます。「人(ひと)」は「霊止(ひと)」で霊魂が肉体に留まっている存在を表すと解釈できます。ですから「むすこ・むすめ」は「産す彦(ひこ=男)」「産す姫(ひめ=女)」なんですね。

お母さん達、子供達のおむすびには心を込めて、「産すんで」あげましょう。ただ単に「おにぎり」にするよりも心を込めて「おむすび」した米を食べることによって子供達は母親の愛情と力を受け取って健やかに育ってくれると思います。

コンビニの「おにぎり」には籠もっていないですからね。忙しいときはしょうがないですけれども。

片隅でつまつまと食する親父さま。居酒屋の片隅でしみじみ飲む、みたいな。一升瓶があれば完璧ですかね。