御病気平癒祈願祝詞
明日の祈年祭・鎮火祭に併せて祈願される祝詞
禰宜です。一般の方々はご存じないかと思いますので、この機会に少しご紹介をしようと思いますのが臨時の祈願祭の事です。神社のお祭りは昔から日時が決められた恒例のお祭り、いわゆる「鎮守の村のまつり」ですね、春祭りや秋祭りの事です。その名も「恒例祭」と言われる祭りに対して、臨時におこなうお祭りとして「臨時祭」があります。神社の恒例祭の多くは公共の安泰を祈るのが眼目で、御祭神のゆかりの日付を選んで神様の御神徳を讃えると共に国の安泰、すなわち御皇室の御安泰を祈ることが時代を通して祝詞で奏上されてきました。それに対して臨時に行われるお祭りであります臨時祭は、国家として大きな事柄、突発的に起きた国難に対して全国の神々に大和朝廷から使者を派遣し神々に祈り、早急なる事態の終息を国家としてお祈りしてきたお祭りです。元寇の時や、天災、異常気象の時など随時おこなわれてきました。今日でも事あるごとに、全国の神社を統括する神社本庁から富山県神社庁を通じて「かくかくしかじかでこのような祈願をするために各神社で祭典を行い、数多くの参列者と共にお祈りをしてください」という趣旨の通知文と共に祝詞の例文が郵送されてきます。今月も神社本庁・富山県神社庁から天皇陛下が2月18日に手術をお受けになられるので当日、あるいは手術前に病気平癒祈願をして手術の成功を祈ることと、御快癒の発表があるまでは毎朝お祈りするように通達が有りました。併せて来る3月11日は東日本大震災より1年が経過するに付き、原子力発電所の状況も含め、未曾有の大災害の影響は今尚深刻であるので神社界一丸となって被災地の一日も早い復興と、被災されたすべての方々に一日も早く平安が訪れることをご祈念するために、より多くの参列者と共に祭典をするようにと同じく例文祝詞が送られてきました。早速、例文に従い墨筆致しまして準備を整えました。
陛下の御病気平癒祈願は本日が手術の日ですので早朝に御祈願申し上げました。明日は新川神社の祈年祭・鎮火祭です。昨年に設立された新川神社新庄鎮座400年記念事業奉賛会の結成報告・事業完遂祈願祭も併せてお祈りしますので、本年はお祈りごとが多い祈年祭となります。
まずは神様に祈り、そして行動する。天つ神、国つ神、やおよろずの神達に「我々を良き方向にみちびきたまえ」と祈ってから行動してきたのが我々の祖先が歩んできた道です。神さながらに歩む道・かんながらの道、すなわち「神道」であります。
我々は人間ですので時として過ちを犯します。行動する前に神前で祈ることによって神様の魂と繋がって、「もし、間違った方向に行きそうになったら、正しき道へ導いてください」と、誓いを立てるわけです。このように大和朝廷の時代から今日でも変わらず、その精神は受け継がれています。昔は国家機関である朝廷や政府からお達しがあったのですが今は神社本庁から随時お達しがあり昔と変わらず、国家の安泰をお祈りする、それが全国の神社、神職のお役目で有ります。
多分、わたしがのほほんと暇そうな顔をしていたのだとおもいますが、たまにお祭りのあとに氏子さんから「あんたらいつもお祭り無いとき、なにやっとるがよ」と聞かれることが有りますが、賑やかな、屋台が境内にでる縁日だけがお祭りでは無く、人知れず祈りを捧げる、静かなお祭りもある、ということをご紹介しておきます。
そして我々神職の世界では歴史的に見ても、いちいち自分の事を「あーしたこーした」と、そのようなことを大っぴらには表だって言わないのです、どちらかというと。人知れず日夜、国家の安泰を祈る伊勢の神宮の祭祀がそうですし、その最たる御存在が天皇陛下でいらっしゃると思います。
国家として大きな国難に対峙する今の日本を支えるべく、先ずは皆さんと共に祈り、そして行動して行きたいと思います。